米国査定系再審査に関する論文紹介
論文
「統計は査定系再審査への新たな関心を示している(Stats Show Renewed Interest In Ex Parte Reexamination)」
論文の概要
査定系再審査は、AIA(America Invents Act)改正前から創設されていた制度であり、AIA改正後も維持されています。
著者が、1981年から2022年までの査定系再審査の請求件数を見たところ、2012年までは順調に増加していましたが、AIA改正後の2013年以降は急激に減少しています。しかし、2020年頃から再び増加に転じています。(図1参照)
査定系再審査の請求件数が増加に転じた1つの理由として、IPR(Inter Partes Review)やPGR(Post Grant Review)と比較した場合のコストの低さが挙げられています。別の理由として、査定系再審査の手続開始率(grant/institution rate)が、IPRやPGRよりも高いこと(図3参照)も述べられています。
また、査定系再審査とIPRの2020年の成功率(success rate)を比較したところ、全てのクレームが無効にされた割合はIPRが格段に高いものの、一部のクレームが無効とされた割合は査定系再審査の方が高くなっています(図4参照)。
査定系再審査は、歴史的に特許権者よりも第三者による請求が多いとのことです。第三者は、匿名で請求することができ、エストッペルの点でもIPRより有利であるとも述べられています。ただし、和解については、査定系再審査は手続開始後は取り下げることができないが、IPRは最終的な書面により決定の前であれば和解することができることも記載されています。
弊所コメント
査定系再審査については、特許権者として請求する場合と、第三者として請求する場合がありますが、今回の論文では、第三者として請求する場合のメリットが幾つか紹介されています。特許を無効にしたい場合に、IPRだけでなく、査定系再審査も採り得る1つの方策になるかもしれません。詳細は、添付の論文を参照ください。
[情報元]
Michael Sartori (Baker Botts LLP) (2022) “Stats Show Renewed Interest In Ex Parte Reexamination” LAW360
[担当]深見特許事務所 佐々木 眞人