韓国商標法が一部改正され、2023年2月4日から施行されます。主な内容は以下の通りです。

１. 部分拒絶制度の導入
　現行制度では、商標出願の一部の指定商品にのみ拒絶理由がある場合でも、それが解消されなければ当該出願を全体として拒絶するようになっています（日本と同様）。
　しかし、改正法では、指定商品の一部に対してのみ拒絶理由がある場合、審査官は拒絶理由のない残りの指定商品については商標登録を許可し、拒絶理由のある商品に対してのみ拒絶ないし不服申立手続きを行うことが可能となり、出願人の便宜が向上することになりました。
　改正法施行日である2023年2月4日以降の出願に対してこの制度が適用されます。ちなみに、このような部分拒絶制度は、すでに米国、中国、EUIPO、イギリス、ドイツ、スウェーデン、トルコなどで採用されています。

２. 再審査請求制度の導入
　これまでは商標登録拒絶決定に対する不服申立手段は拒絶決定不服審判のみでしたが、拒絶決定以降も商品補正などによって簡単に拒絶理由を解消できる場合には、出願人が不服審判を請求せずに当該補正書の提出と共に「再審査請求」を行うことで拒絶を解消できるよう、再審査請求制度が新たに導入されます。
　再審査請求は拒絶決定に対する不服申立期間内（登録拒絶決定通知を受けた日から3月以内）に可能であり、再審査請求をした場合には拒絶決定が取り消されたものとみなされます。ただし、再審査請求は1回に限り、すでに拒絶決定不服審判を請求した場合には再審査請求はできません。また、マドプロルートの出願には適用されません。

３. 電気通信回線での商標使用の明文化（2022年8月4日から施行）
　現行法上、商標の使用規定にはオンライン上で提供されるデジタル商品の流通行為について直接言及する内容はありませんでしたが、改正法では「商品またはその包装に商標を表示したものを、電気通信回線を通じて提供し、またはこのために展示・輸出もしくは輸入する行為」も「商標の使用」行為に含まれることを明確にしました。

［情報元］KIM & CHANG ニュースレター (2022.2.24)
［担当］深見特許事務所　原　智典