反復出願に対する取消決定
2021年4月21日、ECJ(欧州司法裁判所)は、真正な使用の要件を回避するための反復出願に対して決定的な判決を出しました。
(1)事実
クロアチアのKreativni Dogadaji d.o.o.社は、2015年に米国のHasbro社所有のEU商標「MONOPOLY」の取消を請求しました。Hasbro社は、2010年に第9、16、28及び41類を指定した取消対象の登録に加えて、それ以前にも同じ標章を異なる区分で複数出願していました。この取消申請はEUIPOの第一審にて棄却されましたが、その理由は、権利者が14年間に渡って異なる商品について同じ標章を繰返し出願したとしても、それ自体は悪意(bad faith)とはいえないというものでした。
(2)判決
しかしながら、EUIPO審判部及びECJは上記判断に同調せず、少なくともMONOPOLYの先の出願で指定されていた商品については取消を命じました。訴訟においてHasbro社は、反復出願で指定した特定の商品については真正な使用の要件を回避しようとしていたことを認めなければなりませんでした。Hasbro社は反復商標に関して他の動機を挙げていましたが、悪意を排除するのに十分ではありませんでした。
(3)本判決の評価
本判決は、類似商品に対する同一の標章の出願が将来的に厳しく排除されることを意味するものではありませんが、裁判所はすべての人の公正な競争を保証するために、正しい判断をしたと考えられます。
[情報元]MAIWALD NEWSLETTER | June 2021
[担当]深見特許事務所 原 智典