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クッキーのデザインが機能的であるとしてトレードドレスによる保護が認められなかった事例

 米国連邦巡回控訴裁判所(CAFC)の大法廷は、チョコレートに浸した棒状のクッキーのデザインがトレードドレス保護の対象となるかどうかについて審理を行い、当該製品の形態は機能的なもの(functional)であり、トレードドレスによる保護の対象にはならないと判断しました。
 本件訴訟の当事者であるA社とB社は共に、片面をチョコレートやフレーバークリームに浸した薄い棒状のクッキーを製造しています。A社は不可争性を備えた2つのトレードドレス登録を取得しており、トレードドレス侵害を理由にB社を提訴し、CAFCの大法廷まで争いましたが、侵害は否定されました。
 本件において、A社は「当該トレードドレスは製品に”不可欠(essential)”なものではないため、機能的ではない(だからこそトレードドレスによる保護を認めるべきである)」と主張しました。これに対し、CAFCは、トレードドレスの特徴についてA社の登録に注目し、「当該登録の特徴は、スナックを持ち、食べ、共有し、又は、梱包するという実用的な機能に関連している」と指摘しました。従って、本件製品の形態に採択されたデザインは、製品をスナックとしてより有用(useful)にするものではあるが、「A社が出所であることを識別するに足る恣意的又は装飾的なものではない」と判断しました。また、CAFCはトレードドレスを機能的と判断するためには、それが不可欠なものである必要はないとした上で、「製品や特徴が有用であるかどうか」ではなく、「その特徴のために採択された特定の形状及び形態が有用であるかどうか」を考慮するのが適切な分析であると強調しています。

[情報元]McDermott Will & Emery IP Update | February 4, 2021
[担当]深見特許事務所 原 智典