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PCT国内移行出願時にRCEを請求した場合の宣誓書の提出

 米国特許改正法(AIA)の115条では、同法371条が規定するPCT国内移行出願において発明者の宣誓書(Declaration)が提出されなければならないと規定されています。371条(d)では、国内段階の開始日または長官が定めるそれより後の時期までに宣言書が提出されないと、出願を放棄したものとみなすと規定されています。これまでUSPTOはこの規定を厳格に運用せず、宣誓書が提出されていなくともPCT国内移行出願においてRCEを請求することを認めて審査を継続し、さらに特許も許可してきました。
 しかし、この度、USPTOは、PCT国内移行出願においてRCEが請求された場合、宣誓書が提出されないと、371条(d)の規定通りに出願を放棄したものとみなすという措置を取ることを決定しました。このような措置は、RCEの請求を受領した後の出願や既に特許が成立した出願にも遡って適用されると、審査便覧(MPEP)の706.07(h)に明記されました。このため、USPTOは、このような宣誓書が提出されていないRCE後の出願や特許に対して、放棄通知を出し始めています。
 以下、修正後の審査便覧706.07(h)の抜粋と要約です。

Revised to indicate that for an effective request for continued examination (RCE) to be filed in a 35 U.S.C. 371 national stage application, all required inventor’s oaths or declarations (or substitute statements) must be submitted in the application prior to or with the RCE, notwithstanding 37 CFR 1.495(c)(3) permitting an inventor’s oath or declaration to be postponed until an application is otherwise in condition for allowance. In accordance with 37 CFR 1.114(e), an RCE cannot be filed in an international application that does not comply with 35 U.S.C. 371; 35 U.S.C. 371(c)(4) requires submission of the oath or declaration by the inventor(s) or a substitute statement.

特許法371条の国内移行出願に対して提出されるRCEの請求を有効に行うためには、発明者の宣誓書(またはそれに代替する供述書)をRCEの請求前か、あるいはRCEの請求と同時に提出していなければならない。37 CFR 1.495(c)(3)は宣誓書は特許許可されるまでに提出されればよいとしているがここでは適用されない。37 CFR 1.114(e)により、特許法371条、371条(c)(4)により求められる宣誓書または代替する供述書が正しく提出されない国際出願については、RCEは認められない。

 宣誓書が提出されていないことを理由に、遡って放棄されたとみなされたRCE後の出願や特許は、特許再生の請願(Petition to Revive)と宣誓書を提出することによって回復することは可能なようですが、是正するための請願費は2000ドルかかり、USPTOがその料金の全額を請求するか、あるいは、免除するかについては未だ不透明です。
 本ルールの施行により想定される影響としては、このような特許についてライセンスがある場合、特許が再生されるまでの期間は特許権が存在せず放棄されているとみなされるため、特許権者は特許料が得られなくなる可能性があります。このようなことから、現在審査中のPCT国内移行出願については、宣誓書を早めに提出しておいた方が安全だと言えます。

[情報元]Westerman, Hattori, Daniels & Adrian, LLP
米国特許ニュース|September 8, 2020
[担当]深見特許事務所 岸 彰