特許法改正:特許権者の生産能力を超える特許侵害者の製品販売に対しても損害賠償を請求できる
特許権者の生産能力を超える特許侵害者の製品販売に対しても損害賠償を請求できるようにする改正特許法が2020年6月9日付で公布され、同年12月10日に施行されます。
現行特許法では、特許権者の生産能力を超える侵害品に対して損害賠償を請求できません。そのため、市場では、侵害可能性があるとしても、まず実施により利益を得、その後、侵害が確認された場合は損害賠償額を支払うのが有利であるという認識が形成されており、その反面、特許権者は訴訟で勝っても実質的な損害賠償額を受けることができず、その金額が非常に少ないため、訴訟を放棄する等、特許権侵害の悪循環が繰り返されることがあったようです。
改正法では、特許権者の生産能力範囲内の販売数量に対しては現行通りであり、超過販売数量は特許発明の合理的な実施料に基づいて計算し、これらを合算して損害賠償を請求できます。
〔現行法〕
特許権者の生産能力範囲×単位当たり利益額
〔改正法〕
(特許権者の生産能力範囲×単位当たり利益額)+(超過分×合理的な実施料率)
[情報元]Lee International IP & Law Group Newsletter – May 21, 2020
[担当]深見特許事務所 溝口 正信