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データ処理ソフトウェアChecks Outは、特許適格性を有する

 Koninklijke KPN N.V. v. Gemalto M2M GMBH et al., Case Nos. 18-1862, -1864, -1865 (Fed. Cir. Nov. 15, 2019)
 KPN社は、データ送信システムにおけるエラーを検出するための装置および方法の特許(U.S. Patent No. 6,212,662)を所有しています。バイナリコード情報を伝送する際に、ランダムなエラーを発生する環境要因もあれば、繰返し発生するシステマティックエラーを発生する環境要因もあります。KPN社の特許は、システマティックエラーにフォーカスしています。
 先行技術は、破損したデータおよび破損していないデータの両方に同一のチェックデータを生成していたため、システマティックエラーを確実に検出することができませんでした。KPN社の特許は、同一の持続するシステマティックエラーに対して、同一の欠陥のあるチェックデータが生成され続けないようにするために、チェックデータを生成する方法を時折変更することによって、このような問題を解決しています。
 KPN社は、Gemalto M2M社を、自社の特許を侵害しているとして提訴しました。これに対して、Gemalto M2M社は、KPN社の特許の4つのクレーム(クレーム1~4)が特許適格性がないとして、訴答に基づく判決(judgment on the pleadings)を求める申立を提出しました。
 地方裁判所は、Gemalto M2M社の申立を認めました。地方裁判所は、Alice事件(Alice Corp. v. CLS Bank International)の2ステップのフレームワークを適用して、KPN社の特許の4つのクレームが特許適格性がないと判断しました。Alice事件のステップ1として、地方裁判所は、これらのクレームは、データを並び替え、追加データを生成するという抽象的なアイデアに向けられたものであり、多くのCAFC判決において特許適格性がないと判断された単なるデータ操作クレームであると判断しました。地方裁判所は、これらのクレームには、どのようにしてデータを並び替えるのか、どのようにして並び替えたデータを使用するのか、どのようにして追加データを生成するのか、どのようにして追加データを使用するのかを記載していないので、これらのクレームは抽象的であると説明しました。Alice事件のステップ2として、地方裁判所は、KPN社が意図している進歩性を有するコンセプトがこれらのクレームに表されていないので、これらのクレームは、特許適格性がないと判断しました。
 KPN社は、従属クレーム2~4のみに関して地方裁判所の判決を不服として上訴しました。
 CAFCは、上訴されたクレームは、既存の技術プロセス(データ送信におけるエラーチェック)における抽象的ではない改善に向けられたものであるので、特許適格性を有すると判断しました。CAFCは、チェックデータを生成する方法を変化させる具体的な実装を記載した上訴されたクレームが、先行技術の検出システムの能力を改善すると判断しました。CAFCは、上訴されたクレームが、単なるデータを操作する抽象的なアイデアではなく、既存の技術プロセスの機能の抽象的ではない改善を表していると判断しました。Alice事件のステップ1に基づいて、上訴されたクレームが特許適格性を有すると判断されたため、地方裁判所の判決が覆されました。

[情報元]McDermott Will & Emery IP Update Vol. 22, No. 12
[担当]深見特許事務所 西川 信行