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成功の合理的期待がないのに組合せの動機付けはない

 CAFCは、2つの先行技術文献に開示された技術が両立しないため、当業者がこれらの文献を組合せる動機付けはなく、組合せて成功する合理的な期待を有さない、というPTABの認定が実質的な証拠によって裏付けられるとの理由で、PTABの非自明の決定を肯定しました(Samsung Electronics Co., Ltd. v. Elm 3DS Innovations, LLC, Case No. 17-2474, -2475, -2476, -2478, -2479, -2480, -2482, -2483, 18-1050, -1079, -1080, -1081, -1082 (Fed. Cir. June 12, 2019))。
 Elm 3DSは、共通の明細書を共有し「積層集積回路メモリ」に関する11の特許権を所有しています。PTABは、サムスン、マイクロン、およびSKハイニックスによって提出された13の請求に基づいてIPRを実施しました。請願書では、Bertin特許またはYu記事からなる主引用文献とLeedy特許との組合せに基づき約105の特許クレームが自明であると訴えていました。審理後、PTABは、請願人がBertinまたはYuとLeedyとを組合せる動機付けを証明しておらず、組合せて成功する合理的期待もないため、クレームは非自明であると判断しました。申立人は上訴しました。
 CAFCは、PTABの自明性判断を肯定しました。まず、Bertin-Leedy組合せについて、請願書では、Bertinに開示される誘電層の成長の代わりに、Leedyに開示されるプラズマ化学気相成長法(PECVD)を用いて低ストレス誘電材料を堆積させることを提案していました。PTABは、PECVDはBertinの集積回路と両立しないというElmの専門家の証言を信認し、当業者はBertinとLeedyとを組合せるように動機付けられず、組合せることで成功する合理的な期待を有さないと判断しました。CAFCは、Bertinの製造工程がLeedyの誘電材料を用いてどのように変化されるのかを請願人が十分に説明していないため、PTABの判断は実質的な証拠によって裏付けられていると判断しました。また、CAFCは、誘電体はそれらがどのように製造されるかに基づいて幅広く異なる特性を有し得るため、誘電体を選択し当該誘電体を形成する方法は、請願人が提示する以上に複雑であると証拠は示していると判断しました。
 Yu-Leedyの組合せに関しても、CAFCは、議論はBertin-Leedyの組合せにおけるものと同様であると述べました。

[情報元]McDermott Will & Emery IP Update Vol. 22, No. 7
[担当]深見特許事務所 紫藤 則和