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審判部手続規則の改正

 2019年7月1日に、欧州特許庁(EPO)は、改正された審判部手続規則(Rules of Procedure of the Boards of Appeal)を承認しました。この改正規則は、審判手続の効率化を向上させることを目的としており、2020年1月1日に施行されます。
 改正規則の11条では、審判部は、特別な理由がない限り事件を第一審(審査部又は異議部)に差し戻してはならないと規定されています。この新しい規定の目的は、審判部と第一審の部門との間の「ピンポン」現象を回避することです。
 改正規則の第12条(4)~(6)によると、審判段階において、新しい請求、事実、反論、主張および証拠を提出することが困難になります。具体的には、第一審の決定の根拠となった請求、事実、反論、主張および証拠に向けられたものではない当事者の審判事件の部分については補正とみなされ、この補正は審判部での裁量によってのみ認められます。
 改正規則の第13条(1)では、審判理由またはその応答の提出後においては、審判事件の補正は審判部の裁量によってのみ認められ、当事者は、審判手続のこの段階で補正を提出する理由を提供しなければならないことが規定されました。改正規則の第13条(2)によると、EPC施行規則第100(2)条に基づく通知で指定した期間の満了後または口頭審理への召喚状の通知後に行われた審判事件の補正は、説得力のある理由で正当化される例外的な状況がない限り考慮されません。
 今回の改正規則によると、係属中の審判事件について、未提出の請求、事実、反論、主張および証拠がある場合には、2019年12月31日までに提出することを検討すべきでしょう。また、今後は、第一審手続において、この段階で関連するすべての請求、事実、主張および証拠を提出するように留意する必要があります。

[情報元]D Young & Co, Patent Newsletter, No. 72, August 2019
[担当]深見特許事務所 勝本 一誠