冒認出願による中国意匠登録2件に無効審決
中国江蘇省の電気自動車メーカーが日系企業3社の6種の自動車デザインをコピーして中国で意匠出願しました。その意匠の中には、スズキ社のHustlerとWagon R Stingrayの意匠が含まれていました。これに対して、スズキ社は「電気自動車(C03)」及び「新エネルギー電気自動車(C06)」の意匠権に対し無効審判を請求しました。国家知識産権局特許審判委員会は当該2件の無効審判請求を併合し、口頭審理を行いました。意匠権者は答弁書を提出せず、かつ口頭審理にも出頭しませんでした。同委員会は、無効審判請求人が提出した証拠に基づき、対象の意匠が特許法の関連規定に合致しないと認定して、その場で2件の係争意匠が無効であるとの審決を下しました。
中国では、意匠出願は実体審査されませんので、他社製品をコピーしたデザインであっても意匠登録されますが、権利の安定性は極めて低いといえます。国家知識産権局は公開されている他者デザインや公然販売されている他者製品をコピーして意匠登録された冒認出願に対してはその登録の当否を厳しく審理します。そして、本件のように冒認であることが明らかな無効審判については、口頭審理の場で無効である旨審決が下されます。
[情報元]北京林達劉知識産権代理事務所 判例紹介
[担当]深見特許事務所 藤川 順