(シンガポール)フィンテック・ファストトラック・イニシアチブでの初の特許付与
シンガポール知的財産庁(IPOS)は、東南アジアに拠点を置くテクノロジー企業であるVoyager Innovationsに、新設の「フィンテック・ファストトラック・イニシアチブ」(以下、FTFTイニシアチブ)による初の加速特許を付与しました。通常、特許の付与には少なくとも2~4年、場合によってはそれ以上かかりますが、FTFTイニシアチブにより、Voyagerは7ヶ月で特許を取得することができました。
新たに設けられたこのFTFTイニシアチブは、IPOSで出願を行う全てのフィンテック企業にとって追加費用なしで利用可能です。この制度の目的は、シンガポールにおけるフィンテックの革新性の成長をサポートするとともに、フィンテック製品及びサービスのライフサイクルが年々短くなっていることを考慮し、企業がその技術をより迅速に市場に投入し営利化できるようにすることです。
フィンテック(FinTech)とは、金融関連サービスに適用される技術、また企業がビジネスの財務管理に役立てるために利用する技術のことを指します。IPOSの発表によれば、フィンテック関連の発明には次のものが含まれます:(i)電子決済、(ii)投資プラットフォーム、(iii)保険に関する技術、(v)ブロックチェーンと銀行業務、(v)セキュリティ、(vi)不正行為と認証。
また、フィンテックの発明には、代替デューディリジェンス、仮想取引とスマート・コントラクト、そしてマーケット情報プラットフォームなども含まれます。フィンテック関連発明は通常、提供される金融サービスを向上するため、データ分析、IOT(Internet-of-Things)、モバイル・プラットフォーム、クラウド・コンピューティング、人工知能/機械学習、そして暗号通貨などの実現技術を用います。
特許が付与されたVoyagerの発明は、オンサイトまたはオフサイトのライブイベントにおいて、ユーザがアプリケーションを通してリアルタイムの活動に参加することを可能にする、分散台帳技術に基づいたものです。この発明では、イベント毎の位置データ、イベント毎に定義される行動、およびユーザの動きやモバイル端末の位置といった種々さまざまのデータが利用されます。
[情報元]Spruson & Ferguson, January 16, 2019
[担当]深見特許事務所 和田 吉樹