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生命科学分野でのミーンズプラスファンクションクレーム形式

 米国特許第8,722,872号として発行された出願の権利化の際、出願人は、生命科学分野の発明においてミーンズプラスファンクション形式の限定を導入した自発補正を提出し、審査官に旧112条6項を行使することを望むと具体的に伝えました(Ex parte Gleave, Appeal 2012-4973 (PTAB Jan. 22, 2014))。独立クレームは、次の通りです。

 33.(新規)
 医薬組成物であって、
 (a)配列番号91との配列特異性相互作用により癌細胞の活性型hsp27の量を低減させるための手段と、
 (b)薬学的に受容可能なキャリアと
を備える。

 審査官は、クレームが2つの仮出願において基礎を欠き、明細書がアンチセンス・オリゴヌクレオチドまたはRNAi抑制以外に活性型hsp27の量を低減させるためのいかなる手段も記載しておらず、明細書がクレームに記載された機能に対応する構造を記載していない、との理由からクレームを拒絶しました。
 これに対し、出願人は、審査官はクレームに記載された課題を実現するための2つの手段に言及しており、MPEP 2181に教示されたミーンズプラスファンクション形式としてクレームを適切に解釈できていないと指摘しました。
 この事件は、PTABがこれを審判で聴取するまで続きました。PTABは、ドナルドソン事件および他の先例に基づき、審査官の拒絶を覆しました。PTABは、MPEP 2181を引用し、明細書はクレームに記載された機能を有する構造(特定のアンチセンス・オリゴヌクレオチドおよび特定のRNAi分子)を開示していると結論づけました。
 ミーンズプラスファンクションは、生命科学分野の特許出願では一般に好まれておらず、それほど用いられるものではありません。しかし、このようなクレーム記述を用いると、明細書に実際に記載された構造に出願人を限定するものの、より明確で精密なクレームが可能になることは注目に値します。

[情報元]Greenblum & Bernstein, Post-Grant Group Newsletter November 2018
[担当]深見特許事務所 紫藤 則和