(インドネシア)インドネシア特許法改正
インドネシア特許法が改正され、2016 年 8 月 26 日から施行されました。主な改正事項は以下のとおりです。
(1)第二用途のクレームの特許保護対象からの除外
改正法のもとでは、既知の物の新たな用途または既存の化合物の新たな形態のクレームは許可されなくなりました。
(2)特許権の効力の例外
改正法では、以下の行為には特許権の効力が及ばないものとされました。
- インドネシアで特許された医薬品であって他国で適法に販売されているものを特許権者の許可なく輸入する行為
- インドネシアで特許された医薬品を、特許保護期間が満了する 5 年前以後に、特許保護期間満了後の薬事承認または販売を目的として製造する行為
(3)特許維持年金が支払われなかった場合の扱い
旧法では、年金は期限経過後 3 年まで支払うことができ、この 3 年間にも支払いがない場合には特許権は無効とみなされて消滅しました。このように年金を支払わないことによって特許権を消滅させた場合、特許権は消滅しているにもかかわらず特許権者には未払い分の年金を支払う義務が生じて負債として残る制度となっていました。
改正法では、年金が期限までに支払われなかった場合には特許権は無効とみなされて消滅することになります。ただし、申請により 12 ヶ月までの期限延長が可能です。旧法にあったような未払い分の年金の支払い義務は無くなりました。
この改正事項については、のちに特許庁から回報(Circular Letter)が発行され、以下の点などが明らかにされました。
- 年金未納であって、改正法施行日前に支払期限があったものについては、旧法が適用されます。
- 年金未納であって、改正法施行日以降に支払期限があるものについては、新法が適用されます。
(4)簡易特許(simple patents)の保護対象拡大
簡易特許(小特許)の保護対象として、物の他に、新規な方法、既存の方法の改善も加えられました。
(5)特許付与後異議申立制度
旧法では、特許付与後の異議申立制度はありませんでしたが、改正法では、特許付与後の第三者による異議申立が可能となりました。
[情報元]Spruson & Ferguson, August 25 and November 9, 2016
[担当]深見特許事務所 和田 吉樹