(インドネシア)特許発明の実施義務
インドネシア特許法第20条によれば、技術移転、投資、現地雇用をサポートする目的で、特許権者は、インドネシア国内での特許によってカバーされている製品を生産する、または、当該特許でカバーされているプロセスを使用する義務を負います。
特許許可後36月以内に発明が実施されていない場合、第三者は強制実施権(特許法第82条)の申請をすることができ、法務省は、個別の事案に応じて強制実施権を付与するか否かを決定します。
実施義務(working requirement)についてより明確にするために、施行規則が2018年7月11日に公布されました。この規則によれば、発明をまだ実施することができない特許権者に、義務を最長5年まで延期することができます。この延期は、法務省に対して延期理由を添えて申請書を提出することによって可能です。最長の5年をさらに超える延期は、請求に応じて許可される可能性があります。
最初の延期申請書は、特許許可の日から3年以内に提出しなければなりません。特許発明実施義務の規定が施行されたのは2016年8月26日であるので、延期申請書の提出のための3年の期限は最も早くて2019年8月26日に到来します。
特許発明を実施しない理由としては、以下のものが許容されると解されます。
(i) 36月の期間内に特許発明を実施するための能力または設備の不足
(ii) 製造または生産がコミュニティの利益にとって経済的規模に見合わないこと
特許発明が実施されている証拠を、インドネシア特許庁または法務省に定期的に提供することまでは、必要ないと解されます。特許権者は、第三者によって強制実施権の申請が出された場合には、自らの発明が実施されていることを立証することが期待されます。
強制実施権の規定が施行されたのは2016年8月26日であるので、3年(=36月)の期間が経過して強制実施権の請求が可能となるのは、早くとも2019年8月26日です。
[情報元]Spruson & Ferguson, August 29, 2018
[担当]深見特許事務所 和田 吉樹