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(欧州)欧州単一特許を巡る最近の動向

 欧州特許機構管理理事会の特別委員会は、2015年12月15日、欧州単一特許の更新料の水準と、更新料の各国への配分に関する規則を採択しました。今般採択されました欧州単一特許の更新料は、既報(2015年秋号)のとおり、現在欧州特許が最もよく有効化されている上位4か国(独、仏、英、蘭)に対して支払われる更新料の合計額に対応する金額に設定されております。加盟国間の利害が対立する更新料の各国への配分に関する規則が採択されたことは、欧州単一特許制度の発効に向けて大きな前進となると期待されます。
 また、欧州統一特許裁判所準備委員会は、2015年10月に、統一特許裁判所(UPC)の手続規則の第18次草案を採択し、2016年2月に、UPCの裁判手数料及び回収可能費用の規則及びガイドラインを採択しました。今般採択されましたUPCの裁判手数料規則では、それまで1件当たり70ユーロの手数料が必要とされていたオプトアウト(UPCの専属管轄の適用除外)の手続について、無料若しくは実費程度にまで引き下げるとされております。
 さらに、2016年1月19日、フィンランドは、統一特許裁判所(UPC)協定を正式に批准しました。この結果、UPC協定を批准済みのEU加盟国は、オーストリア、フランス、スウェーデン、ベルギー、デンマーク、マルタ、ルクセンブルク、ポルトガル、フィンランド(正式批准の完了順に記載)の9か国となりました。なお、同協定は、イギリス、ドイツ、フランスを含む13か国の批准によって発効します。
 以上のように、欧州単一特許制度の発効に向けて着実に前進しております。現時点では、2017年中に欧州単一特許制度が発効するとの見通しが、欧州の知財関係者の間で拡がっております。

[情報元]D Young & Co, Patent Newsletter, No. 51, February 2016、 JETROデュッセルドルフHP
[担当]深見特許事務所 日夏 貴史