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(欧州)EPO早期審査手続(PACE)改正

 欧州特許出願の早期審査手続(PACE)の改正が、2016年1月1日付で施行されました。
 PACEプログラムの主要な点は変更ありません。出願人は、EPOに直接出願された欧州特許出願、およびEPOに移行されたPCT出願の両方について、手数料および特段の理由なしに、調査および/または審査を加速することができます。
 最も重大な変更点のうちの1つは、調査段階でPACE申請しても、自動的にPACEプログラムに基づいて審査されない点です。早期調査のための申請と早期審査のための申請とを、出願手続中の適切な時期に、別々に提出しなければなりません。EPOは、早期調査申請の受付から6ヶ月以内に調査報告を発行し、早期審査申請の受付から3ヶ月以内に次回局指令を発行するよう努力しますが、目標であり義務ではないため、全ての件について上記期間内に発行されるとは限りません。なお、”Early Certainty from Search”スキームの施行により、2014年7月1日以降の出願については、早期調査のためのPACE申請は必要ありません。
 EPOはまた、PACE申請が取下げられた場合、出願人が期間延長を申請した場合、または出願が拒絶もしくは取下げされた場合に、PACEの利益を失うことを明確にしました。加えて、維持年金が期間内に支払われなければ、EPOは早期審査手続を「停止」します。
 調査段階と審査段階とにおいて、各々一度きりのPACE申請が可能とされる点にも留意すべきです。調査段階または審査段階において、もし何らかの理由でPACEの利益を喪失してしまうと、同じ段階の間にPACE申請をさらに提出してもPACEに復帰することはできません。
なお、欧州特許出願の手続を加速させる他の1つの選択肢として、特許審査ハイウェイ(PPH)の申請も利用可能です。

[情報元]D Young & Co, Patent Newsletter, No. 51, February 2016
[担当]深見特許事務所 村野 淳