USPTOによる審査後のパイロットプログラム(P3)について
USPTOによる審査後のパイロットプログラム(以下、P3)が、2016年7月11日から開始されました。
(1)P3の目的
P3の目的は、拒絶査定に応答して出願人が提出する審判件数および継続審査要求(RCE)の件数を減少させることにあります。
(2)P3の特徴
P3は、Pre-Appeal Brief Conference Pilot Program(以下、Pre-Appeal Program)の特徴およびAFCP2.0プログラムの特徴に加え、新たな特徴を有するものです。具体的には、(i)final Office Action後の応答が、Pre-Appeal Programと同様に審査官委員会により検討され、(ii)AFCP2.0のように補正案を提出でき、(iii)新たな試みとして、出願人が審査官委員会に対して制限時間20分のプレゼンテーションを行なう機会が付与されます。
(3)P3の申請
P3を利用するためには、出願人はfinal Office Actionの送付日から2ヶ月以内、かつ、審判請求書の提出前にUSPTOのEFS-WEB電子ファイリングシステムを利用してP3の申請書および関連書類を提出する必要があります。但し、出願人がAFCP2.0プログラムまたはPre-Appeal Programの申請書を既に提出している場合には、P3を利用することはできません。
P3の申請の際には、(i)P3カバーレター、(ii)5ページを超えない意見書(補正案はページとしてカウントされません)、(iii)出願人が審査官委員会との会議に参加が可能である旨の陳述書、の3点を提出する必要があります。
なお、オプションとしてクレーム補正案を提出することができます。P3の申請時におけるクレーム補正では、クレームの範囲を拡張することはできません。なお、クレーム補正案の提出は必須ではないため、クレーム補正案を提出せずにP3を利用することも可能です。
(4)P3に基づく決定
決定通知の送付により、出願人には審査官委員会の決定が通知されます。決定通知には、以下のいずれか1つが示されています。
(i)最終拒絶の維持
(ii)特許査定
(iii)審査の再開
(5)P3の申請費用
P3の申請には費用はかかりません。
(6)P3の試行期間
USPTOでは、(i)2017年1月12日、もしくは(ii)USPTOが1,600件のP3の申請を受理するまで、のいずれか早い方までP3の申請を受付けています。
[情報元]Greenblum July 14, 2016「U.S. PTO-Post-Prosecution Pilot Program (P3)」
[担当]深見特許事務所 池田 隆寛