実体審査の迅速化に向けた料金規則の改正
2016年7月1日、欧州特許庁(EPO)は、実体審査開始前に出願が取下げられた場合(みなし取下げを含む)における審査料の返還割合を75%から100%に引き上げました(欧州特許条約料金規則11条(a))。また、出願人が審査料の全額返還の利益を確実に享受できるようにするために、欧州特許庁(EPO)は、実体審査開始予定日の少なくとも2月前までに、出願人に対して実体審査開始予定日を通知し始めました。当面は一部の出願についてこの通知が発送され、将来的には全出願についてこの通知が発送される見込みです。
さらに、2016年11月1日、欧州特許庁(EPO)は、実体審査開始後であっても、1回目の審査部からの通知に対する応答期間の満了前(ただし、1回目の審査部からの通知が特許付与の意図の通知である場合には、特許付与の意図の通知の前)までに、出願人の申請により出願が取下げられた場合には、審査料を50%返還することを新たに導入しました(欧州特許条約料金規則11条(b))。
今回の料金規則の改正により、権利化を図ることが困難な見込みの出願について早期の取下げが促されて、実体審査期間(審査請求から特許付与の意図の通知までの期間)が短縮されることが期待されます。欧州特許庁(EPO)は、実体審査期間を、2020年を目途に12月に短縮することを目指しております。
[情報元]欧州特許庁HP、欧州特許庁官報(Official Journal EPO)2016, A49
[担当]深見特許事務所 日夏 貴史