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欧州特許庁、本質的に生物学的なプロセスによって得られた動植物に係る特許出願の審査等を一時停止

 欧州特許庁(EPO)は、2016 年11 月24 日、本質的に生物学的なプロセスによって得られた動植物に係る特許出願の審査及び特許異議申立の審理を一時停止することを発表しました。背景は以下の通りです。
 欧州特許条約(EPC)は、本質的に生物学的なプロセス自体は特許適格性を有しない旨規定しておりますが(EPC 第53 条(b))、本質的に生物学的なプロセスによって得られた動植物が特許適格性を有するか否かについて明示的に規定しておりません。そのような状況において、EPO の拡大審判部は、2015 年3 月、ブロッコリー事件II(G2/12)及びトマト事件II(G2/13)において、本質的に生物学的な方法によって得られた動植物は特許適格性を有する旨審決しました。
 これに対し、欧州議会は、2015 年12 月、これらの審決と欧州連合(EU)における植物品種の保護法制との間の整合性に懸念を表明し、欧州委員会に、EU バイオ指令(98/44/EC) の第4 条等の解釈を明確化することを求める旨決議しました(P8_TA(2015)0473)。そして、欧州委員会は、2016 年11 月3 日、EU バイオ指令の制定経緯等を踏まえ、同指令の立法者は、本質的に生物学的なプロセスによって得られた動植物自体についても特許適格性を認めないことを意図していると解されるという通知を発表しました(2016/C 411/03)。欧州委員会の上記通知を受けて、EPO は、本質的に生物学的なプロセスによって得られた動植物に係る特許出願の審査及び特許異議申立の審理を一時停止することを決定しました。
 1999 年のEPO 加盟国の決定によって、EU バイオ指令はEPC に導入され、EPO の実務に適用されております(EPC 規則26 条(1)等)。そのため、EPO 加盟国が欧州委員会の上記解釈に従うことを決定すれば、EPO はその決定を実施することになります。

[情報元]欧州特許庁官報(Official Journal EPO)2016, A104
欧州特許庁HP、欧州委員会HP、欧州議会HP
[担当]深見特許事務所 日夏 貴史