(欧州)欧州特許庁、専ら本質的に生物学的なプロセスによって得られた動 植物を特許対象外とする規則改正を行なう
2017 年冬号の外国知財情報レポートにご報告致しましたように、欧州特許庁(EPO)は、本質的に生物学的なプロセスによって得られた動植物に係る特許出願の審査及び特許異議申立の審理を2016 年11 月から一時停止しておりましたが、2017 年6 月29 日、専ら本質的に生物学的なプロセスによって得られた動植物を特許対象外とするよう欧州特許条約(EPC)の施行規則(規則27(b), 28(2))を改正するとともに、本質的に生物学的なプロセスによって得られた動植物に係る特許出願の審査等を同年7 月1 日から再開することを発表しました。上記改正は、欧州特許庁(EPO)に現在係属中の出願と欧州特許庁(EPO)への今後の出願とに適用されます。
欧州特許条約は、本質的に生物学的なプロセスは特許適格性を有しない旨規定しておりますが(EPC 第53 条(b))、本質的に生物学的なプロセスによって得られた動植物が特許適格性を有するか否かについて明示的に規定しておりません。そのような状況において、EPO の拡大審判部は、2015 年3 月、本質的に生物学的な方法によって得られた動植物は特許適格性を有する旨審決しました(ブロッコリー事件II (G2/12)、トマト事件II (G2/13))。
これに対し、欧州議会の決議(P8_TA(2015)0473)を受けて、欧州委員会は、EU バイオ指令(98/44/EC)の制定経緯等を検証し、2016 年11 月3 日に、同指令の立法者は、本質的に生物学的なプロセスによって得られた動植物自体についても特許適格性を認めないことを意図していると解されるという通知を発表しました(2016/C 411/03)。そこで、2017 年6 月29 日、欧州特許機構管理理事会は、専ら本質的に生物学的なプロセスによって得られた動植物を特許対象外とする規則改正を承認しました(CA/D 6/17)。
[情報元]欧州特許庁HP https://www.epo.org/news-issues/news/2017/20170629.html、欧州特許庁官報(Official Journal EPO)2017, A56
https://www.epo.org/law-practice/legal-texts/official-journal/2017.html
[担当]深見特許事務所 日夏 貴史