デザイン特許(意匠登録)と商標登録との区別
台湾ではデザインと商標の知的財産権をそれぞれ専利法と商標法により保護しています。原則として、デザインや商標は主務官庁に出願をし、登録査定とならなければ独占権の保護を受けることができません。台湾の現行専利法と商標法の関連規定はすでにその殆どが国際的趨勢に沿ったものとなっていますが、台湾では発明、実用新案及びデザインをまとめて専利法という規範で定めており、この点において、商標にならってデザインを単独で立法化し保護を図っている日本とは異なります。
物品や商品が、デザインと商標のどちらのカテゴリで保護されるのかを明瞭にするため、台湾の現行専利法および商標法に基づきデザイン特許と商標の違いを下表にて説明しますので、必要となる権利保護の形態に応じてデザイン特許と商標登録のどちらを出願するかを検討するのにお役立てください。
上表(こちらのPDF「11.(意匠、商標・台湾)デザイン特許(意匠登録)と商標登録との区別」をご参照ください。のとおり、デザイン特許は毎年年金を納付しなければならず、その権利存続期間は最長で12年であるのに対し、商標の専用期間は10年ごとに延長することが可能で、しかも延長できる回数に制限はありません。侵害が発生した場合、デザイン特許では被害者自身が民事救済手続により賠償を請求することしかできませんが、商標権の侵害では刑事責任があるために国家の公権力に委ねて侵害を排除することもできます。例えば、税関が商標権侵害疑義物品の輸出入を発見した場合には水際措置をとることになります。したがって、全体として、商標はより強力に保護されますが、商標とデザイン特許では保護する対象が異なるため、そのデザインによって、デザイン特許の保護しか受けることができない場合もあれば、デザイン特許と商標による保護を同時に受けることができる場合もあります。コカ・コーラの瓶を例に挙げると、デザイン特許による保護期間としては10年余りですが、そのデザインが、消費者においてその商品を認識し、かつ他の商品と区別するに十分な顕著性を有していれば、商標としての登録も可能で、その場合、更新登録すれば保護期間は無制限となり、より強い保護を受けることができます。
[情報元] UNION PATENT SERVICE CENTER TAIWAN NEWSLETTER NO.20170927J-1 September 27, 2017
[担当]深見特許事務所 中島 由賀