(欧州)欧州の知財制度に関する最近の動向
欧州委員会は、9月、英国の欧州連合(EU)離脱交渉における知的財産権に関するポジションペーパを公表しました。このペーパの中で、離脱協定では、以下の事項(a)-(e)を担保するとしております。(a)離脱日前にEU法に基づいて英国で享受されていた知的財産権による保護は、英国のEU離脱によって害されない。(b)離脱日において係属中の手続的権利(例えば、優先権)は、英国において同等の知的財産権を申請する際に失われない。(c)離脱日前に係属中の補充的保護証明書(SPC)の申請は、EU法によって定められる条件に従って処理される。(d)離脱前にEU加盟国と英国とで保護されていたデータベースは、離脱後も引き続き保護される。(e)離脱日前のEU内での知的財産権の消尽は、英国のEU離脱によって影響されない。
欧州特許庁(EPO)は、11月1日付で審査ガイドラインを改訂しました。主な改訂事項は以下①~④のとおりです。①サーチ段階で単一性違反が発見された場合に、部分サーチレポートとともに、クレームの最初の単一性を満たす発明についての暫定的見解を作成する(Part B)。②本年6月の動植物の特許性に関する欧州特許機構管理理事会の決定(2017年夏号を参照)を反映させた(Part F、Part G)。③サーチ見解書に対する出願人の応答にもかかわらず特許性を見出すことができない例外的な場合には、審査部は、最初の局指令として、口頭審理の召喚状を発行することがある(Part C)。④近時の判例を踏まえて、継続処理(further processing)は、期間徒過または権利喪失に関する通知から2月以内に、追完の手続及び所定の手数料とともに申請しなければならないと改訂した(Part E)。
[情報元]欧州委員会HP、欧州特許庁HP、欧州特許庁官報(Official Journal EPO)2017, A75、欧州特許庁審査ガイドライン2017年11月版
[担当]深見特許事務所 日夏 貴史