米国改正特許法(米国発明法:AIA)に関する最近の動き
(1)37 C.F.R.§1.290 に基づく特許発行前の第三者による提出
米国発明法で追加された35 U.S.C.§122(e)に基づいて、37 C.F.R.§1.290 が改正され、係属中の特許出願において、第三者が特許と刊行物を以前にも増して提出しやすくなりました。特許発行前の第三者による提出は、係属中の実用特許出願、意匠特許出願、植物特許出願(およびこれらに基づく継続出願)において行なうことができますが、再発行出願または再審査手続では行なうことはできません。
(2)補充特許審査の最終規則
米国発明法は、USPTO に情報を考慮、再考慮または訂正させるために、出願人に補充特許審査を許可する35 U.S.C.§257 を付加しました。ここでの情報には、特許、刊行物、先行技術情報には限られません。むしろ、ここでの情報とは、特許審査時に考慮されなかったか、不十分にしか考慮されなかったか、あるいは不正確だった、特許権者が特許に関係すると考えるあらゆる情報が含まれます。
(3)35 U.S.C.§115 および§118 の改定に関する最終規則
8月14 日、USPTO は、米国発明法に基づく35 U.S.C.§115 および§118 の様々な改正を実行するための最終規則を発行しました。改定後の§115 では、宣言書の内容要件と、1 名以上の発明者が宣言書に署名することができない場合もしくは署名することを拒否している場合の要件を変更しています。改定後の§118 では、発明者以外にどのような人が特許「出願人」となることができるかの定義が拡大されています。これらの要件は、2012 年9月16 日以降の米国出願およびPCT 出願に適用されます。
(4)当事者系レビューおよび特許付与後レビューの最終規則8月14 日、USPTO は、第三者が発行済み特許に異議を申し立てることが可能となるように、米国発明法において新たな手続を行なうための最終規則を発行しました。これらの新たな手続には、当事者系レビュー、特許付与後レビュー、およびビジネス方法特許に対する従来の特許付与後レビュープログラム等があります。上記の最終規則とともに、USPTO は、特許審判および審判部の審判を統治する最終規則、および、規則に従って規則内で行なうためのUSPTOの提案を与える審判部に実践させるための「実務ガイド」の最終版を発行しました。
(5)新規出願および継続出願における発明者宣言書に関する新規則新規則では、宣言書に下記の供述を含めるようになっています。
1. 宣言書に署名する人物(氏名が記載された発明者もしくは共同発明者)が、宣言書を提出した出願において、自己が、請求している発明の本来の発明者もしくは本来の共同発明者であると信じていること
2. 宣言書に署名する人物により出願がなされたこと、または第三者により出願がなされるように宣言書に署名する人物が権限を与えたこと
3. 宣言書において故意に虚偽の供述を行なった場合、18 U.S.C.§1001 に基づき、罰金もしくは最高5 年の禁錮に処せられる、またはこれらの刑が伴科されること
(6)特許期間調整の規則改正
特許期間調整の規則が以下のように改正され、9月17 日に発効しました。
a)「審判のレビュー期間」が、審判請求の日からではなく、応答理由書の提出日又は応答理由書の提出期限の早いほうに始まることになりました。
b)審判請求の日から3ヶ月を超えて不服理由補充書又はRCE を提出した際、その超えた期間だけが「出願人による遅延」の対象になることになりました。
(7)特許料金引き上げ
消費者物価指数(CPI)の変動を反映して、2012 年10 月5日金曜日付けで特定の特許料金の調整のための最終規則が発行しました。全体的に、料金は、今年前半のUSPTO の最初の見積りの2.9%ではなく、約1.7%の引き上げとなります。
(OLIFF & BERRIDGE, PLC SPECIAL REPORT, in August and September 2012)