(英国)パテントボックス制度の導入
パテントボックス制度が2013 年4 月1 日より新しく施行されました。この新制度により、特許権から生じた所得に対する英国の法人税率が通常の23%から引き下げられます。
この税率は、最終的には10%にまで低くなると予想されます。この税の軽減は、2013年4 月から5 年間にわたって段階的に導入されますので、2017 年4 月から10%の税率が適用されることになります。つまり、現在英国の法人税を納めている企業は、特許権から生じた営業利益に対して通常の税率よりも低い税率が課されることになります。
パテントボックス制度においては、自身で創出しかつ英国の特許権を保持するイノベーションから生じた所得に対して英国の法人税を支払う企業に対して利益がもたらされると予想されます。ここでいう「所得」とは、特許権または独占的なライセンスにより生じたいかなる所得(ロイヤリティ、特許製品の販売、および特許されたプロセスを用いたサービスの提供)も含まれます。
特に、英国法人税の納税者は、自社の製品やプロセスのうちのどれが特許権によってカバーされているのかについて検討する必要があります。さらに、特許権による保護が得られるかどうかを決めるために製品およびプロセスについて再検討することも有用であると考えられます。また、パテントボックス制度を利用するという目的においては権利範囲が広い特許権を得ることは求められませんが、問題となる製品およびプロセスをカバーしなければならないことについて注意する必要があります。
パテントボックス制度は、特許権を保持しかつこれをビジネスに活用している企業にとって、英国の税負担を軽減するための大きなチャンスになります。
[情報元]Venner Shipley’s Intellectual Property Magazine Spring/Summer 2013
[担当]深見特許事務所 山本康平