IPR およびCBM の最近の状況
2012 年9 月16 日に、USPTO は、IPR(当事者系レビュー)を求める申請およびCBM(ビジネス方法特許に対する付与後レビュー)を求める申請の受理を開始しました。
2013 年4 月25 日において、IPR およびCBM についての234 件の申請があったことがPTAB(特許審判上訴部)の手続リストで確認されています。これまで、234 件の申請の中で56 件の手続が開始され、12 件の手続が、誤った申請、和解、開始の拒絶などの理由によって打切られました。
<PTAB での最近の活動>
(1)付与後手続の最初のヒアリング
PTAB は、2013 年4 月17 日に米国発明法(AIA)に基づく最初のトライアルを実施しました。この手続に対する公衆の関心が高いため、PTAB は、ヒアリングを放送し、手続を公衆がライブで聴けるようにしました。各サイド(特許権者と申請人)に約1 時間与えられました。PTAB の審判官(administrative patent judge)がヒアリングに出席し、101 条での特許可能な法定の主題について、双方の代理人に質問しました。参加者が割当てられた時間をすべて使用しなかったので、将来、割当てられる時間が減らされるかもしれません。
(2)PTAB による和解を求める当事者へのガイダンスの提供
いくつかの事件で、PTAB は、和解を求める当事者へのガイダンスを提供しました。これらの事件では、当事者は、限られた期間に共同で終結の申請を提出することが許可されました。PTAB の審判合議体は、終結を認める際に、「この事件は、準備段階であり、トライアルが開始されていない」などの理由を明示的に述べました。したがって、ある段階(どの段階かはまだ明らかでないが)において、PTAB は、和解の結果を受けて手続を棄却するのを渋ることになるかもしれません。
(3)IPR の開始後の特許性無しの理由追加を却下
Research in Motion Corp. v. Mobilemedia Ideas LLC. において、2013 年4 月2 日、3 人のPTAB の審判合議体は、特許権者の特許に特許性がない理由を追加する申請人の主張を拒絶しました。
(4)ディスカバリと証拠に関するガイダンスの提供
Garmin International Inc. v. Cuozzo Speed Technologies LLC において、PTAB の審判合議体は、以下を議論しました。
(a)「通常のディスカバリ」および「追加のディスカバリ」の意味と、316 条(a)(5)の「正義に適うのに必要」という基準にとって重要な5 つの要素。
(b) 封印の申請(motion to seal) の対象となる情報の性質、そのような申請を決定するのに使われる基準。
(5)排除への時期尚早な努力
LKQ Corp. v. Clearlamp, LLC において、PTAB の審判合議体は、申請者によって申請とともに提出された証拠を排除するように求める特許権者の要求を却下しました。この要求は、特許権者の予備応答の一部でした。審判合議体は、適切な手続および状況の下での再度の申請のための権利を侵害することなく、時期尚早な申請を却下しました。
(6)商業的成功に関する追加のディスカバリの申請(求める情報と商業的成功との関係の主張が必要)
Microsoft Corp. v. Procyconn, Inc.において、PTAB の審判合議体は、侵害していると主張されている製品の申請人による売り上げについての追加のディスカバリを求める特許権者の申請を拒絶しました。なぜなら、申請人の商業的成功と特許発明との関係についての説得力のある主張が行なわれなかったからです。
(7)その他のPTAB に関する事項
5人の審判官からなる拡大された審判合議体は、112 条第2 段落での新たな拒絶理由を提出しました。これらの事件では、審判合議体は、「プロセッサ」の用語は、非構造性の用語であって、クレームのすべての記載された機能を実行するために十分に明確な構造を有するものとは当業者には理解されず、「means for」の単なる代替物であると判断しました。これらの事件において、審判合議体は、プロセッサ限定において記載された機能を実行するためのアルゴリズムが明細書に開示されておらず、それゆえ112 条第2 段落の規定によってクレームが不明確になるという結論を示しました。
[情報元]Greenblum & Bernstein, P.L.C., NEWSLETTER, NO.7, April-May 2013
[担当]深見特許事務所 西川信行