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欧州における分割出願

 2009 年、EPO においてなされた分割出願の時期的制限に関するEPC 規則36 の改正は思い出す必要がなくなるでしょう。EPO はEPC 規則36 を改正し、2 年間の分割出願の時期的制限を廃止することを決定しました。
 現行のEPC 規則36(1)は以下の通りです。
(1) 出願人は,係属している先の欧州出願に関し,分割出願をすることができる。ただし,次を条件とする。
(a) 分割出願が,連絡がなされた最先の出願に関して,第94 条(3)並びに規則71(1)及び(2)又は規則71(3)に基づく審査部の最初の連絡から24 月の期限の満了前になされること,又は(b) 分割出願が,先の出願が第82 条の要件を満たさない旨審査部が異論を出した連絡から24 月の期限の満了前になされること。ただし,これは審査部が当該異論を初めて出した場合に限る。
 2 年間の時期的制限は、当初、主題の係属状態を延期する手段に分割出願を利用することを制限するために導入されました。特に、出願が拒絶された場合に口頭審理前になされる「予備的な」出願の実務を抑止することが目的とされていました。
 しかしながら、この目的に反して、2 年間の時期的制限は、実際には分割出願の件数の増加を招く結果となりました。この件数増加の原因は、主に、特許の出願経過の進行状態を知らない場合に出願人が分割出願せざるを得ないためです。
 さらに、2009 年9 月27 日の拡大審判部の審決(G1/09)によれば、出願は審査部による拒絶決定から2 ヶ月間の審判請求期限までEPC 規則36 の意味において「係属中」であるのだから、出願人はもはや予備的な出願をする必要がありません。その結果、出願人は口頭審理前の予備的な出願に頼る必要がなく、特許の拒絶後に分割出願をすることができます。
 EPC 規則36(1)はその導入趣旨が没却されただけでなく、時期的制限の監視が困難でした。時期的制限は個々の出願に対しては適用されませんが、一連の出願全体において一つの出願の分割期限を確定するために同列にある他の全ての出願の審査を確認する必要があります。さらに一度時期的制限が過ぎると、EPC 規則(1)(b)の下、後の分割期間がさらに発生します。出願は発生し得る「新たな」単一性違反の拒絶について審査経過中ずっと監視する必要があります。これは、より複雑で資源集約的な監視システムが必要であり、単に整理部門に頼ることは不可能であるということです。
 EPC 規則36 をどのように改正すべきかについて協議や議論を重ねた結果、欧州特許庁の管理会合は、2 年間の時期的制限を廃止するようにEPC 規則36 を改正することに合意しました。改正されたEPC 規則36(1)は、以下の通りです。
 (1) 出願人は,係属している先の欧州出願に関し,分割出願をすることができる。
EPC 規則36(2)~(4)は変更されていません。
EPC 規則135(2)は、EPC 規則36(1)の参照を削除するように改正されました。
 最後に、管理会合は、分割出願の件数を減らすために、2 世代目以降の分割出願について出願手数料の一部として追加手数料を課すようにEPC 規則38(1)を改正しました。
 この追加手数料は、第1 世代の分割出願には課されません。
改正後のEPC 規則38 は以下の通りです。
 手数料に関する規則は、分割出願自体である任意の先の出願に関して分割出願がされた場 合、出願手数料の一部として追加料金を提供することができる。
 手数料は世代が進むに伴い徐々に増加し、これは分割出願の世代の増加を抑止することを目的としたものです。また、この追加手数料の額は2014 年に決定される予定です。
 この規則改正は2014 年4 月1 日に施行され、それ以降の分割出願について適用されます。

[情報元]D Young&Co Patent Newsletter No.38 December 2013
[担当]深見特許事務所 山本康平