消尽は特定のクレームではなく特許全体に適用
特許消尽の抗弁が方法クレームの侵害発見を無効化するかに関し、CAFC は、方法特許の特許権は、実質的に方法を具現化する機械の販売により消尽することを支持しました(Keurig v. Sturm Foods , Case No. 13-1072 (CAFC, Oct. 17, 2013))。
Keurig は、使い捨てのカートリッジから飲料を醸造する方法に関する2 件の特許のクレーム侵害を申し立ててSturm に裁判を起こしました。Keurig は、特定のKeurig醸造モデルにおけるSturm の置換カートリッジの使用が上記クレームを直接侵害するため、Sturm は幇助侵害に当たると主張しました。これに応答して、Sturm は特許消尽の抗弁を主張し、非侵害の略式判決を要求しました。地裁は、Keurig の特許権は、特許された醸造機械をKeurig が最初に認可販売したことにより消尽したとして、Sturm による非侵害の略式判決の要求を認めました。Keurig は控訴しました。
CAFC は、上記醸造機械が方法クレームを実質的に具現化したため、Keurig による醸造機械の認可販売が係争中の方法クレームを消尽させたとして、地裁の判決を支持しました。Quanta 事件とUnivis 事件に基づいて、CAFC は、Keurig は特許された醸造機械を無条件で販売したため、その購入者は購入者が選択するいかなる方法によっても当該機械を使用できるという(少なくとも、Keurig からの訴えに対して)足かせのない権利を得たと判示しています。
CAFC は、Quanta 事件とUnivis 事件では、販売された製品が特許されていないことを強調していたと述べています。しかしながら、今回の場合、Keurig によって販売された製品は特許されていました。加えて、Keurig はSturm に対してカートリッジの特許を主張せず、醸造機械における当該権利が上記2 件の特許の装置クレームに関して消尽したことを議論していません。一方、CAFC は、Keurig が方法クレームの侵害に関わる装置の下流購入者を維持することによって特許装置を消尽から保護するために、方法のみならず装置もクレームしたことにより、消尽の回避もある程度可能であろうと判示しています。
CAFC は、消費者が異なるタイプのカートリッジを使用する可能性があることは方法クレームの消尽を妨げないとの地裁の判断を肯定しています。具体的に、CAFC は、特許消尽がクレームごとに判決されるべきであるというKeurig の主張を却下しています。代わりに、CAFC は、学術面において消尽は、クレームごとではなく、係争中の特許全体に適用されると判示しています。CAFC は、クレームごとの消尽を可能にすると、第三者および末端使用者の両方の権利に関して不確実性が生じると述べています。
判決の多数意見には同意したものの、オマリー判事だけは「消尽はクレームごとに判断されるべきではない。・・・なぜなら、特許クレームは互いに独立であるため、特許消尽がクレームごとに適用されるべきとの法的教示は道理にかなっているからである。」と、上記の多数意見に対して意見を述べています。そのため、オマリー判事は、我々が今日考える適用範囲よりも広い範囲にまで今回の多数意見を包括的ルールとして適用しようという提案には反対しました。
[情報元]McDermott Will & Emery, IP Update November 19, 2013
[担当]深見特許事務所 紫藤則和