PTAの決定において「継続審査にかかった期間」は特許査定の時点で終了するとしたCAFC判決
1月15日、CAFCは、Novartis AG v. Lee事件における判決を出しました。この判決では、継続審査要求(RCE)が既に提出済みである特許について、USPTOは、特許期間調整(PTA)の計算方法を変更する必要があるとされました。要約すると、CAFCは、「継続審査にかかった期間」は、特許査定通知の郵送日に終了するため、審査再開とならない限り、特許査定から特許発行までの期間は、PTAの決定の対象とはならないとしました。
USPTOは、RCEの提出から特許発行までの全期間を「継続審査にかかった期間」とみなしていました。Novartis事件における判決では、今後の特許の中にはPTAの期間が延長されるものもあり、最近発行となった特許の中にはUSPTOのPTAの決定に異議を申し立てる根拠を与えることになるものもあるかもしれません。
本件に関し、地裁は、特許期間の追加延長というNovartisに有利な判決を出しました。この判決では、最初のRCEを特許出願の実際の提出日から3年を超えてから提出した場合、特許期間は、RCEの提出後にも審査が継続している全期間により延長されるべきであるとされました。特に、地裁は、最初のRCEを特許出願の実際の提出日から3年を超えてから提出した場合の154条(b)(1)(B)の遅延(以下「B」の遅延と称す。)のPTAにおけるUSPTOによる短縮は、法律に反するものとしました。
USPTOが地裁の判決を不服として上訴した結果、CAFCは、判決の一部を覆し、適切なPTAの再決定を求めるため本件を地裁に差し戻しました。特に、CAFCは、USPTOが154条(b)(1)(B)(i)を正確に解釈していることに同意しました。すなわち、RCEを出願の実際の提出日から3年を超えてから提出したとしても、継続審査にかかった期間は、「B」の遅延のPTAの対象となるべきであるということです。CAFCは、このことが、(i)RCEの提出日に関する限定を設定していない制定法の記載と、(ii)遅延がUSPTOの「間違い」によるものではない場合、特許発行のためにUSPTOに与えられている3年の期間の対象とされるべきではないとするPTAの計算の基礎政策と一致するとしました。
それにもかかわらず、CAFCは、いつ「継続審査にかかった期間」が終了するかについてNovartisに同意しました。特に、CAFCは、特許査定から特許発行までの期間が、継続審査にかかった期間であり、「B」の遅延のPTAから除外されるべきであるというUSPTOの主張を拒絶しました。CAFCは、RCEの提出がない場合、特許査定から特許発行までの期間は、USPTOの3年の期間の対象とすべきであると指摘し、RCEの提出がある場合を異なる形で取り扱う必要があるという根拠はないとしました。また、CAFC は、通常、「継続審査にかかった期間」とは、特許査定までの期間のことであり、審査再開とならない限り、特許査定以降は含まれないとしました。
[情報元]OLIFF SPECIAL REPORT, January 30, 2014
[担当]深見特許事務所 紫藤則和