国・地域別IP情報

USPTOが自然法則、自然現象、自然産物の特許適格性を分析する新たなガイドラインを発表

 USPTO は、101 条に基づいて特許適格性を審査する際の新たなガイドラインを公表しました。
 このガイドラインによる審査手続は、2014 年3 月4 日から有効となり、Myriad 事件“ Supreme Court Decision in Association for Molecular Pathology v. MyriadGenetics, Inc.”の判決日である2013 年6 月13 日に発行された審査官へのメモランダムに取って代わるものです。
 このガイドラインは、抽象的なアイデアを記載するクレームに対する審査手続を変更するのではありません。抽象的なアイデアは、これまで通り、MPEP 2106(Ⅱ)におけるガイドラインによって特許適格性が分析されます。
 ガイドラインには、特許適格性を判断する際、審査官はThree-Part Test に従うよう明記されています。
 ステップ1では、クレームが4つの法定分類(プロセス、機械、製造物、物質)のいずれかに該当しているかを判断します。該当していればステップ2に進みます。
 ステップ2では、クレームが1つ以上の司法上除外事項に関連するかを判断します。該当していればステップ3に進みます。
 ステップ3では、クレーム「全体」が司法上除外事項に該当するものと比較して「著しく異なる」かを判断します。ステップ3の要件を満たすと判断されれば、そのクレームは101 条に基づき特許適格であると見なされます。
 ガイドラインによると、「著しい違い」は、複数の方法で立証することが可能とのことです。例えば、(1)司法上除外項目を実用的且つ実質的に応用する要素や手段がクレームに含まれている;若しくは(2)自然に存在するものと比較して著しく異なると証明できる特性や手段がクレームに含まれている、などを提示することです。
 ガイドラインには、審査官が特許適格性を判断する際に考慮すべきいくつかの要因と例を提示しています。
 さらに、ガイドラインは、審査官に対する忠告として、結論を出す前に関連する要因及び証拠の全てを入念に検討し、関連要因全体のバランスをとりながら審査するよう呼びかけています。
 ガイドラインには、クレームにおいて特定の言葉(”isolated”)があることによって自動的に特許適格性が与えられるのではないことが記載されています。
 Myriad 事件の最終判決の範囲は、核酸を対象とするクレームに限られていましたが、ガイドラインの適用は、核酸を対象とするクレームに限られません。ガイドラインによれば、タンパク質、ペプチド、抗生物質、樹脂のような自然源に由来する化学物質を含む自然産物を記載しまたは含むクレームが、自然産物と著しく相違する何かを記載しているかについて分析されなければなりません。

[情報元]Greenblum & Bernstein, P.L.C. CLIENT ADVISORY, March 7, 2014
[担当]深見特許事務所 西川信行