AIA修正法を考慮した特許期間調整の再計算の要求に関するUSPTOによる経費削減された暫定手続
USPTOは、PCT出願の国内移行出願で最近直接発行となった特許の特許期間調整(PTA)の迅速な再計算の要求に関するオプショナルの暫定手続(2014年5月15日から有効)を設定しました。これは、AIA修正法に由来する変更に基づくPTA計算用のコンピュータプログラムの変更を行なう際に著しい遅延が発生したためです。
AIA修正法によると、第1次オフィスアクションを発行するためにUSPTOに与えられる14ヶ月というPTAの期間は、国内段階開始日に始まります。371条に基づく国内段階開始日とは、(a)最も早い優先権主張日から30ヶ月経った日付、または(b)明確な審査請求を伴う371条(c)の全要件を満たした日付のいずれか早い方を指します。従って、現在、PTAの「Aの遅延」の計算対象である14ヶ月の期間とPTAの「Bの遅延」の計算対象である3年の期間は、同日に開始します。この変更は、2013年1月14日以降に登録となった特許に適用されます。
USPTOは、PALMシステムに記録された情報を使用するコンピュータプログラムを利用して、PCT出願について国内段階開始日から14ヶ月のPTAの期間を計算するにあたり、コンピュータプログラムの変更を行なう際に著しい遅延が発生しました。最終的に、2014年4月にコンピュータプログラムの変更は完了しました。従って、2014年5月20日以降に発行された特許のPTAの決定は、AIA修正法中のPTAの条項の変更と一致しています。
この著しい遅延を考慮して、USPTOは、PCT出願から直接生じた、2013年1月14日から2014年5月20日までの間に発行となった特許のみを対象として、PTAの再計算を要求するオプショナルな手続を提供しています。このオプショナルの手続は、PCT出願のバイパス継続出願と371条に基づき国内段階に移行したPCT出願の継続出願を含み、111条(a)に基づく出願からの特許には適用されません。出願人が、このオプショナルの手続を利用できるように、USPTOは、要求提出対象特許について最低限の識別情報の提示のみを義務付ける簡略化された請求様式(PTO/SB/132の様式)を提供しています。2014年7月31日までに、この簡略化された要求様式をUSPTOに提出する必要があります。USPTOは、(i)USPTOへの200ドルの手数料の納付と(ii)このオプショナルの手続に基づき提出された再計算の要求に関する特許の発行日からの2ヶ月以内の提出期限とを免除しています。
このオプショナルの手続に基づく要求に応答して、USPTOは、PTAを再計算し、新PTA決定を発行します。しかし、この新PTAの決定はUSPTOの最終決定ではなく、地方裁判所に民事訴訟を提起する前に、新PTAの決定の日付から2ヶ月以内に所定の手続により異議申立をすることができます。
USPTOが、200ドルの手数料を免除し、PTAの再計算の要求の非常に簡略化された様式を提示しているため、このオプショナルの手続に基づくPTAの再計算の要求の総額費用は、規則1.705に基づく通常のPTA決定の再検討要求より著しく低いものです。
従って、クライアントの皆様に、特許ポートフォリオを検討し、重要で適格な特許についてこの暫定手続の利用をお勧めします。特許ポートフォリオを検討する場合、国内段階出願の原出願日に要件を全て満たした特許を検討対象から外すことにより、対象特許の調査を迅速に絞ることができます。残りの対象特許の中で、最も早い優先権主張日から30ヶ月経った日付の後に、国内手数料が納付された、またはPCT出願の宣誓書または翻訳が提出されたもののみが、USPTOにより「Aの遅延」に関する14ヶ月というPTAの期間の開始日が不正確に計算された特許となります。
[情報元]OLIFF SPECIAL REPORT, May 23, 2014
[担当]深見特許事務所 小寺 覚