韓国改正特許法案の主要内容
各国特許制度の統一化を目標とする特許法条約(PLT)の一部の内容を反映させ、出願日認定要件を緩和するなどの内容が含まれた特許法改正案が2014 年4 月29 日に国会の本会議を通過しました。大部分の条項の施行日は2015 年1 月1 日です。改正案の主要骨子は以下の通りです。
(1)出願日認定要件の緩和
改正案では、明細書の形式的要件及び言語的要件が緩和されました。明細書の形式的要件に関しては、形式とは関係なく発明の説明が書かれた明細書と必要な図面を添付した出願書を提出すれば、その提出日を出願日として認めるようにしました。また、言語的要件に関しては、外国語(現在は英語のみ)で明細書を作成し、出願書と共に提出すれば出願日が認められるようにしました。ただし、これらの規定により、出願日が認められた場合には、優先日から1 年2 ヶ月以内に特許請求の範囲や韓国語翻訳文を提出する補正が必要であり、この補正が行なわれなかった場合には特許出願は取下げられたものとみなされます。
(2)PCT 出願及び外国語出願の原文主義の導入
改正案は、韓国語の翻訳文に記載された事項の範囲を逸脱した補正は拒絶理由に該当すると規定すると共に、翻訳文の誤訳を外国語原文の範囲内で訂正できるようにする誤訳訂正制度を新たに導入しました。
(3)PCT 出願における韓国語の翻訳文提出期限の延長が可能に
改正案では特例期間を導入しましたので、出願人が韓国への国内移行の意思を表明し、翻訳文提出期限の延長を申請すれば別途の承認手続を経なくても翻訳文の提出期限を1ヶ月延長することができるようになりました。
(4)その他
改正案では、「明細書」は「発明の説明」と「請求の範囲」とを含む概念であり、「発明の説明」は「発明の名称」と「図面の簡単な説明」と「発明の詳細な説明」とを含む概念であることが明確にされました。
[情報元]金・張法律事務所 Newsletter, 2014 年9 月号
[担当]深見特許事務所 和田吉樹