EPO係属中の出願の法的な見通しを向上させる新スキームを導入
EPOは、係属中の出願の法的な見通しを向上させる新スキームを2014年7月に導入した旨発表しました。
“Early Certainty from Search”と称されるこの新しいスキームでは、以下が実施されます。
・全ての欧州出願について、出願日から6ヶ月以内に、サーチレポート及び見解書を発行する。
・新たな出願の審査を開始するよりも、既に着手した出願の審査の完了を優先する。
・肯定的な見解書が発行された出願に対して、迅速に特許を付与する。
・証拠によって裏付けられた意見が第三者から記名で提出された出願を優先的に処理する。
・欧州特許に対する異議申立、欧州特許の限定及び欧州特許の取消を優先的に処理する。
新スキームは、欧州特許出願に対してサーチレポート及び見解書を適時に発行することを保証することにより、特許戦略を構築するための強固な基盤を早期に提供するという利点を、欧州において特許保護を求める企業および発明家にもたらします。また、新スキームは、先行技術の概要と特許性に関する見解を早期に提供することにより、係属中の出願の透明性(出願の帰趨についての見通し)が高まるという利点を、第三者にもたらします。
ただし、本スキームによって、審査手続の全ての段階にわたって出願が迅速に処理されることになるわけではありません。欧州特許庁の意図は、全ての出願を迅速に処理することにあるのではなく、出願人及び第三者が早期に出願の法的な見通しを立てられるようにすることに、審査官のサーチの時間を集中させることにあります。
[情報元]D Young & Co, Patent Newsletter, No.42, August 2014
[担当]深見特許事務所 日夏貴史