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エレクトロニクスおよびコンピュータの分野における欧州特許の異議~異議申立をして先行技術を証明するための戦略~

 遠隔通信、携帯電話技術及びブロードキャスト技術の分野におけるEPO での異議では、標準化が不可欠な役割を果たします。つまり、サムソンvs アップルや、モトローラvs アップルなどの昨今の法廷闘争にみられるように、遠隔通信会社の対抗手段の1つとして、標準化関連特許が挙げられます。そこで、エレクトロニクスおよびコンピュータの分野における戦略的な異議へのガイドの初歩を紹介します。
<標準化団体>
 エンジニアが特定のテクノロジーを確立するために文書をやりとりすることはよくあることです。昨今では、標準化団体は、メンバーが標準化の助けのために容易にアクセスでき、検討できるように、メンバーに対して文書の共有サーバへのアップロードを可能とします。しかしなら、標準化団体が確立されるよりも以前にエンジニア間でやり取りされた文書はどのように取り扱われるでしょうか?
<先行技術>
 一般的に、反論を提出する時間的な制約のために、得られた文書がパブリックドメイン(知的財産権が発生していない状態)にあると仮定されることがよくあります。しかしながら、単に文書に日付が入っていることが、当該文書がその日付にパブリックドメインにあったことを必ずしも意味するというわけではありません。
 特許権を攻撃しようとしている異議申立人は、これらの文書を非常に有用な先行技術とすることができます。これに対して特許権者は、典型的には、これら文書が公開されなかったか、文書に表わされている日付には少なくとも公開されなかったと主張することを防御として行ないます。
<防御:証人供述書>
 文書の公開の日付が疑われる場合、対処の1つとして、何が、いつ、どこで、どのように、だれに対して公開されたか、を確立する証人供述書を準備することが挙げられます。証人供述書は、署名され、かつ、日付が記載されていなければならず、おそらく副署されなければなりません。
<異議:証人供述書への挑戦>
 異議申立人は、それに対して証人供述書を準備して提出できます。特許権者はその証人供述書に対して反論したり否認することができます。そして、特許権者は、証人供述書が嫌疑のかかっている日付に公開されたか否かを認めることを異議部にゆだねることができます。
<結論>
 EPO の異議手続は、ある団体の知的所有権を攻撃するためには非常に効果的な方法となり得ます。この手続を経ることで、比較的安価に、かつ早急に結果を出すことができます。
 文書の公開日をめぐる証拠と議論とは、欧州特許に巧妙に異議申立をし、または異議に対して防御するためには重要となり得ます。異議部は、状況から判断して証拠を受入れるでしょうが、実際は、関連した文書が本当に異議申立人の主張する日付にパブリックドメインにあったことの確信がない限り、進んでは欧州特許を取消すことはしません。

[情報元]D Young & Co, Patent Newsletter, No.42, August 2014
[担当]深見特許事務所 丹羽愛深