国・地域別IP情報

101条に関する「抽象概念」の例外に基づきクレームの特許適格性を否定した米国最高裁の判決(抄訳)

 6月19日、米国最高裁は、Alice Corp. Pty. Ltd. v. CLS Bank Int’l.事件において、全裁判官一致の判決を出しました。本判決は、Alice社の特許のクレームが、第三者を介在させる金融取引の「抽象概念」に関するものであるため、101条に基づき無効であるとした2013年5月10日のCAFC大法廷の判決を確認するものでした。特に、最高裁は、クレームが、メソッドクレーム、システムクレーム、またはボーレガードソフトウェアクレームであるかどうかにかかわらず、一般コンピュータの実施のみを義務付けることが、抽象概念を適格性のある発明に変換しないとしました。本判決は、最高裁が、同裁判所による過去のBilski事件、Benson事件、Flook事件、Diehr事件において、101条に基づく特許適格性についての「抽象概念」の(判例により制定された)例外の分析を再検討するものであり、CAFC大法廷の判決中のLourie裁判官の同意意見と一致するMayo事件のかなり最近の判決で定められた2段階ステップの分析の基盤を適用するものです。
 本判決では、「抽象概念」の範囲を定義することが明確に拒否されています。従って、(i) 特許適格性があるかどうかを判断するため、簡単に適用できるテスト、もしくは(ii) 101条に基づく特許適格性についての「抽象概念」の例外を避けるため、クレームの作成戦略についての明確な指示が示されていません。それにもかかわらず、最高裁による対象クレームの分析によると、USPTOの101条に基づく抽象概念型の拒絶を克服するための、現在受け入れられており頻繁に利用されている多数の戦略は、もはや有効ではない可能性があります。

[情報元]OLIFF SPECIAL REPORT, July 1, 2014
[担当]深見特許事務所 紫藤則和