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(英国)英国のパテントボックス、縮小へ

 英国において2013年4月より施行されているパテントボックスは、特許権などの知的財産から得られる利益についての税率を10%へ軽減する制度です。この制度のために、他のEU加盟国におけるより高い税率と比較して不公平であるとの議論があり、多国籍企業にとって英国が租税回避地となり得る可能性が懸念されていました。
 2014年11月初旬に、現行のパテントボックスへの新規加入は2016年6月で終了すると発表されました。また、既にパテントボックスの適用を受けている企業が現行のパテントボックスの利益を得られるのは2021年6月までとなります。
 2016年6月以降のパテントボックスがどのような制度となるのか詳細は未だ不明ですが、パテントボックスが適用されるための要件がより厳しくなり、軽減後の税率がより高いものとなる可能性が高いと考えられています。
 したがいまして、英国で法人税を支払っている企業は、2016年6月までに現行のパテントボックスの適用を受けられるように、検討されることをお勧めします。

[情報元]Mewburn Ellis, Mews News, January 2015
D Young & Co, Patent Newsletter, No.44 December 2014
[担当]深見特許事務所 村野 淳