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「ワイヤレス」は「ワイヤなし」を意味せず、「ストリーミングビデオ」は「ビデオファイルの電子メール送信」を意味しない

 CAFCは、USPTOの審判部による拒絶審決を取消す判決を下しました。CAFCは、審判部による以下の結論が誤りであると判示しました。
・金属接触部を通じて情報を送信するために使用することができるリムーバブルメモリカードを開示している先行技術文献が「ワイヤレス」モジュールを開示していること。
・電子メールに添付してビデオファイルを送信するか、あるいは電子メールに添付して連続する静止画を送信することを開示している先行技術文献が、「ストリーミングビデオ」を開示していること。
 本願は、デジタルカメラ画像およびビデオ情報をネットワークを通じて通信する装置に関するものです。
審判官は、先行技術文献(Schuetzle)が、本願のクレームの第2のワイヤレス通信モジュールを開示していると判断しました。Schuetzleは、リムーバブルメモリカードがカメラから取外されて、コンピュータに挿入されたときに、リムーバブルメモリカードが、カメラからの情報を金属接触部を通じてコンピュータに送信することを開示しています。審判官は、Schuetzleには、ワイヤが使用されていないので、Schuetzleは、「ワイヤレス通信モジュール」が開示されているという判断をしました。
 CAFCは、USPTOの「ワイヤレス」の解釈が、明細書に基づく最も広い合理的な解釈と一致しないと判示しました。本願の明細書には、「ワイヤレスとは、電磁波または音波が、ワイヤを通じてではなく、大気空間を通じて、信号を伝送する通信、監視、または制御システムである」と記載されておりました。
 審判官は、先行技術文献(Knowless)が、本願のストリーミングビデオに関するクレームを開示していると述べました。審判官は、Knowlessが、静止画を添付した一連の電子メールを送信すること、およびビデオファイルを添付した電子メールを送信することを記載していることに依拠して、Knowlessがストリーミングビデオを開示していると判断しました。CAFCは、審判官の解釈は不合理であり、クレームの文言および明細書の記載のいずれも一致しないと判示しました。本願の明細書には、静止画とビデオファイルの送信と、ストリーミングビデオの送信とは明確に区別されて記載されていました。

[情報元]McDermott Will & Emery, IP Update, Vol. 18, No.2, February, 2015
[担当]深見特許事務所 西川信行