コンピュータ関連発明の審査ガイドラインについて
インド特許庁は、コンピュータ関連発明における特許出願の審査のより一層の統一性と一貫性を促すことを目的として、審査ガイドラインを2015年8月に公表しました。
上記の審査ガイドラインによれば、主な特徴は以下の通りです。
(1)コンピュータ関連発明に関連して除外される対象の判断
特許性判断においては、クレームされた特定の形式ではなく、発明の基本的な内容が重視されなければならないことは十分に確立されています。
(2)「数学的方法」を対象とするクレーム
数学的方法は、純粋に抽象的又は知的な方法が特許を受けることができないという原則を示す代表例です。ただし、クレームでの数学的公式の単なる使用であっても、それが保護を求めようとする範囲を明白に特定するためのものであれば、当該クレームは必ずしも数学的方法とはみなされません。
(3)「ビジネス方法」を対象とするクレーム
クレームが特許対象外となるのは、当該クレームが実質的に「ビジネス方法」に関係する場合に限ります。もっとも、クレームにおいて「企業(enterprise)」、「ビジネス(business)」、「注文(order)」等の語句が使用されているというだけで、特許は拒絶されるべきではありません。
(4)コンピュータプログラムそれ自体を対象とするクレーム
コンピュータプログラム「それ自体(per se)」に関しては、コンピュータプログラム「そのもの(in itself)」がクレームされずに、その発明の産業上の利用可能性を立証するようにクレームされており、かつその他の特許要件すべてを満たす場合には、特許は拒絶されてはなりません。この場合、当該クレームは、クレーム全体を考慮した上で判断される必要があります。
(5)決定要因
上記のコンピュータプログラムについて、特許を受けることのできるものと見なされるためには、いくつかの要件を含まなければなりませんが、そのうちの1つは、「公知のハードウェアを備えた新規コンピュータプログラムであって、当該ハードウェアと通常以上に相互作用し、かつ、既存のハードウェアの機能性及び性能の変化に影響を及ぼすもの」という要件です。
(6)技術的進歩を判断する指標
コンピュータ関連発明の出願審査においては、審査官は、クレームに必要とされる技術的進歩があることを確認します。具体的には、コンピュータ関連発明に係る発明の技術的進歩を判断する際には、審査官は、ハードウェア、ソフトウェアおよびアーキテクチャの組合せにおいて、当該プログラムに従って新規に出現するハードウェアの特徴が、従来の課題を克服するという技術的貢献をもたらすか、という点について取組まなければなりません。
[情報源]Anand & Anand事務所, 2015年8月26日
[担当]深見特許事務所 杉本さち子