欧州単一特許を巡る最近の動向
(1)欧州単一特許の更新料
欧州特許機構管理理事会の特別委員会は、2015年6月24日、欧州単一特許の更新料の水準として、欧州単一特許制度の枠組みへの参加国中、現在欧州特許が最もよく有効化されている上位4ヶ国(ドイツ、フランス、イギリス、オランダ)に対して支払われる更新料の合計額に対応する金額を設定することを採択しました。今回採択されました欧州単一特許の各年の更新料と、現行の欧州特許の各年の更新料とを比較した図を、図1,2に示します。なお、図1の25参加国とは、欧州単一特許の枠組創設における強化された協力に参加する26のEU加盟国(以下(2)を参照)のうちイタリアを除く25のEU加盟国です。
欧州単一特許の更新料の水準と、更新料の各国への分配とを含む全体のパッケージは、今秋に最終確定される予定です。
(2)統一特許裁判所(UPC)協定の批准に向けた各国の最近の動向
ポルトガルが、2015年8月28日に、欧州統一特許裁判所(UPC)協定を正式に批准しました。この結果、UPC協定を批准済みのEU加盟国は、オーストリア、フランス、スウェーデン、ベルギー、デンマーク、マルタ、ルクセンブルク、ポルトガル(正式批准の完了順に記載)の8ヶ国となりました。
フィンランド政府は、2015年9月28日に、同国の議会に、UPC協定の批准を提案しました。
イタリアは、2015年9月30日、欧州単一特許の枠組創設における強化された協力の26番目の参加国となりました。
なお、同協定は、イギリス、ドイツ、フランスを含む13ヶ国の批准によって発効します(UPC協定89条1項)。
[情報元]D Young&Co Patent News Letter No.48;欧州特許庁HP
[担当]深見特許事務所 日夏貴史