国内裁判例・審決例レポート

国内裁判例・審決例
レポートアーカイブ

国内裁判例レポート 2023年 第18号

「空調服の空気排出口調整機構」事件
(知財高判令和5年2月7日 令和4年(行ケ)第10037号)
(1)審決取消訴訟において、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。
(2)技術分野の関連性および課題の共通性を考慮して、主引用発明(公然実施発明)に接した当業者は、副引用発明を採用するように動機付けられたものと認めるのが相当として、本件発明の進歩性を否定した(特許庁審決を取消)。

国内裁判例レポート 2023年 第17号

「アプリケーション生成支援システム」事件
(知財高判令和元年9月19日 平成31年(行ケ)第10005号)
(1)審決取消訴訟において、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。
(2)引用発明に周知技術を適用することの動機付けがないから、相違点1の構成について、本件補正発明の構成とすることは容易に想到することはできないと判断された(特許庁審決を取消)。

国内裁判例レポート 2023年 第16号

「ソルダペースト組成物及びリフローはんだ付方法」事件
(知財高判平成30年2月20日 平成29年(行ケ)第10063号)
(1)審決取消訴訟において、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。
(2)特許庁では、顕著な効果が認められて進歩性ありと判断されたが、裁判所では顕著な効果が認められないため進歩性なしと判断された(特許庁審決を取消)。

国内裁判例レポート 2023年 第15号

「セボフルランの貯蔵方法」事件
(知財高判平成21年4月23日 平成18年(ネ)第10075号)
(知財高判平成22年1月19日 平成20年(行ケ)第10276号)
(1)特許権侵害訴訟において、クレームにおける「ルイス酸抑制」の用語の意義が明細書等の記載を参酌して限定解釈され、関連の審決取消訴訟において、分割要件違反、実施可能要件違反が指摘された事例。
(2)「ルイス酸抑制」の具体例として、明細書には「化学的中和による抑制」の開示しかないことが問題とされた。「物理的遮断による抑制」(被告方法)とのメカニズムの違いが争点化された。
(3)クレーム拡張型分割出願の参考事例。

国内裁判例レポート 2023年 第14号

「角度調整金具用揺動アーム」事件
(大阪地判平成24年5月24日 平成23年(ワ)第9476号)
(1)特許出願から意匠出願へ変更した後、意匠権侵害差止を請求した事例。
(2)特許出願から意匠出願への変更の適法性と、登録意匠と被告意匠との類否が争われた。

国内裁判例レポート 2023年 第13号

「ドワンゴ対FC2」第1事件
(知財高判令和4年7月20日 平成30年(ネ)第10077号)
(1)海外に設置されたサーバによる動画配信サービスに対して日本の特許権を行使できるか否か(域外適用の有無)が争点となった事例。
(2)原審ではイ号が構成要件非充足と判断され、域外適用の判断無しであったが、控訴審ではイ号が特許発明の技術的範囲に属すると判断され、その一部が日本国外で実施されていても、全体として日本国の領域内で行われたものと評価するのが相当として、特許権侵害を認めた。
(3)ネットワーク関連発明に係る特許権の域外適用に関する判断事例。

国内裁判例レポート 2023年 第12号

「ガス系消火設備」事件
(知財高判令和5年3月27日 令和4年(行ケ)第10009号)
(1)特許取消決定取消訴訟において、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。
(2)特許庁での特許取消決定における、甲1に甲2を組み合わせた上でさらに修正することは、当業者が容易に想到し得るものではないと判断した(特許庁の特許取消決定の判断が否定された)。

国内裁判例レポート 2023年 第11号

「積層体」事件
(知財高判令和5年3月9日 令和4年(行ケ)第10030号)
(1)特許取消決定取消訴訟において、「除くクレーム」が争点となった事例。
(2)本件訂正における「除くクレーム」が特許請求の範囲の減縮に該当し、新規事項の追加には当たらないと判断した(特許庁取消決定の判断を否定)。
(3)「除くクレーム」が新規事項の追加になるか否かを判断する際の参考事例。

国内裁判例レポート 2023年 第10号

「モニタリング装置」事件
(知財高判平成30年4月16日 平成29年(行ケ)第10139号)
(1)審決取消訴訟において、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。
(2)引用発明における条件判断の順序を入れ替えることが、単なる設計変更であるということはできないから、相違点に係る本願補正発明の構成は、容易に想到することができるものではないと判断された(特許庁審決を取消)。

国内裁判例レポート 2023年 第9号

「5-アミノレブリン酸リン酸塩、その製造方法及びその用途」事件
(知財高判令和5年3月22日 令和4年(行ケ)第10091号)
(1)審決取消訴訟において、新規性が争点となった事例。
(2)原告が主張するような引用発明を引用文献から認定することはできないとして、本件発明は新規性を有すると判断した(特許庁審決の判断を支持)。
(3)化合物発明の新規性を主張するにあたって参考になる事例。