国内裁判例・審決例レポート 2024年 第10号
「フードコンテナ(発明者AIダバス)」事件
(東京地裁判令和6年5月16日 令和5年(行ウ)第5001号)
(1)特許法にいう「発明」は、自然人によるものに限られるか否かが争点とされた事例。
(2)裁判所は、特許法に規定する「発明者」は「自然人」に限られるので原処分庁による本件出願の却下処分は適法であるとして、原告の請求を棄却した。
国内裁判例・審決例レポート 2024年 第9号
「セレコキシブ組成物」事件
(知財高判令和6年3月18日 令和4年(行ケ)第10127号)
(1)訂正請求を経てなされた無効不成立の審決の取消訴訟において、訂正後の発明の明確性要件が争点となった事例。
(2)裁判所は、訂正により特許請求の範囲に加えられた発明特定事項(プロダクト・バイ・プロセスクレーム)が明確性要件に適合しないとして審決を取り消した(特許庁審決の判断を不支持)。
国内裁判例・審決例レポート 2024年 第8号
「2,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン、2-クロロ-1,1,1-トリフルオロプロペン、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンまたは2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む組成物」事件
(知財高判令和5年10月5日 令和4年(行ケ)第10125号)
(1)審決取消訴訟において、「除くクレーム」とする訂正の適否が争点となった事例。
(2)本件訂正における「除くクレーム」が新規事項の追加に該当しないと判断した(特許庁審決の判断を否定)。
(3)「除くクレーム」が新規事項の追加になるか否かを判断する際の参考になる事例。
国内裁判例・審決例レポート 2024年 第7号
「経皮的分析物センサを適用するためのアプリケータ」事件
(知財高判令和6年1月22日 令和5年(行ケ)第10024号)
(1)審決取消訴訟において、新規性判断が争点となった事例。
(2)特許庁の審決において引用文献に開示されているとされた本願の発明特定事項「作動部材」について、引用発明の認定に誤りがあると判断し、裁判所は本件発明の新規性を肯定した(特許庁審決を取消)。
国内裁判例・審決例レポート 2024年 第6号
「AROUSE」事件
(知財高判令和5年1月17日 令和4年(行ケ)第10078号)
複数の引用商標との類似に基づき請求された無効審判の審決取消訴訟で、各引用商標から生じる称呼は各々の引用商標の構成に基づき認定されるとの原則を再確認した事例。
国内裁判例・審決例レポート 2024年 第5号
「KAZE」事件
(知財高判令和5年7月12日 令和5年(行ケ)第10005号)
(1)審決取消訴訟において、デザイン化された文字を含む「KAZE」を構成中に含む出願商標と「KAZE」の欧文字を黒色ゴシック体で表した引用商標との類否が争点となった事例。
(2)審判部、裁判所(知財高裁)ともに、出願商標はデザイン化されていても欧文字4文字の「KAZE」と判読可能と認定し、引用商標と類似すると結論付けた。
(3)構成文字の一部がデザイン化された商標が、判読可能な文字として審査されるか、もはや判読不可能な図形要素として審査されるか、その境界線を考えさせる参考事例。
国内裁判例・審決例レポート 2024年 第4号
「車両ドアのベルトラインモール」事件
(知財高判令和5年7月25日 令和4年(行ケ)第10111号)
(1)審決取消訴訟において、進歩性判断が争点となった事例。
(2)特許庁の審決においては容易に想到し得ないとされた相違点に係る構成について、当業者が適宜なし得る設計的事項であると判断し、本件発明の進歩性を否定した(特許庁審決を取消)。
国内裁判例・審決例レポート 2024年 第3号
「athlete Chiffon」事件
(知財高判令和5年10月12日 令和5年(行ケ)第10038号)
(1)審決取消訴訟において、出願商標「athlete Chiffon」が自他商品役務識別力を欠くとして拒絶となった事例(特許庁の拒絶審決を維持)。
(2)指定役務分野で「athlete」と「Chiffon」の語がどのような態様で、いかなる意味にて用いられているかを一般取引実情として認定し、識別力の有無を評価した。
(3)商標から認識される意味を一般取引実情に基づいて評価する手法に関する参考事例。
国内裁判例・審決例レポート 2024年 第2号
「プログラム」事件
(知財高判令和5年8月10日 令和4年(行ケ)第10118号)
(1)審決取消訴訟において、技術分野の関連性が争点となった事例。
(2)裁判所は、甲1発明及び甲4技術は、いずれも無線通信を利用して電子機器の制御を行う技術であり、その属する技術分野を共通にすると判断した(特許庁審決を維持)。
国内裁判例・審決例レポート 2024年 第1号
「接触操作型入力装置およびその電子部品」事件
(知財高判令和5年2月16日 令和4年(行ケ)第10012号)
(1)審決取消訴訟において、進歩性が争点となった事例。
(2)裁判所は、引用発明に周知技術1を適用することが容易であるとはいえないとして本件発明の進歩性を肯定した(特許庁審決の判断を支持)。
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