国内裁判例・審決例レポート

国内裁判例・審決例
レポートアーカイブ

国内裁判例レポート 2023年 第4号

「多角形断面線材用ダイス」事件
(知財高判令和4年11月16日 令和4年(行ケ)第10019号 )
(1)審決取消訴訟において、明確性要件が問題とされた事例。
(2)請求項中の「『略』多角形」との文言について、本件明細書等の記載および技術常識を考慮しても、「基礎となる多角形断面」と区別ができないとして、発明が不明確であると判断した(特許庁審決の判断を否定)。
(3)「略」のほか、「約」、「およそ」、「実質的に」、「本質的に」等の文言が請求項中に含まれる特許の明確性要件を評価するにあたって1つの参考になる事例。

国内裁判例レポート 2023年 第3号

「吹き矢に使用する矢」事件
(知財高判令和4年11月16日 令和4年(行ケ)第10021号)
(1)審決取消訴訟において、進歩性が争点となった事例。
(2)主引例における示唆ないし動機付けの不存在と、阻害要因の存在を認めて本件発明の進歩性を肯定した(特許庁審決の判断を支持)。
(3)引用発明の組み合わせの容易想到性を否定して進歩性を主張するに際しての参考事例。

国内裁判例レポート 2023年 第2号

「レーザ加工装置」事件
(知財高判令和4年11月29日 令和3年(行ケ)第10163号 )
(1)審決取消訴訟において、進歩性の判断の誤りが争点となった事例。
(2)取消事由2(甲15を主引用例とする進歩性の判断の誤り)について、溝が形成された基板を開示する先行技術が存在する場合に、溝が形成されていない基板を採用する動機付けがないから、相違点に係る構成とすることを容易に想到できないと判断した(特許庁審決の判断を支持)。