国内裁判例・審決例レポート

国内裁判例・審決例
レポートアーカイブ

国内裁判例・審決例レポート 2024年 第20号

「Tibetan Tiger」事件ほか

(知財高判令和6年4月17日 令和5年(行ケ)第10114号)ほか2件

 

概要

 

(1)出願商標(「Tibetan Tiger」、「Nepal Tiger」、「Tibet Tiger」)の識別力の有無が争点となった拒絶審決取消訴訟事例。

(2)商標の識別力の有無の判断における取引実情の重要性を再認識させる事例。

国内裁判例・審決例レポート 2024年 第19号

「5-アミノレブリン酸リン酸塩」事件

(知財高判令和6年3月27日 令和5年(ネ)第10086号)

原審(東京地方裁判所 令和4年(ワ)第9716号)

概要

(1)特許権侵害訴訟において、本件発明の「5-アミノレブリン酸リン酸塩」の技術的範囲が争点となった事例。

(2)控訴人による本件発明の「5-アミノレブリン酸リン酸塩」は、単離された純粋な化合物、又は発明者が現実に発明した製造方法によって製造された物に限定されるべきであるとの主張に対し、控訴審はいずれにも限定されないと判断した。

(3)特許権侵害訴訟におけるクレーム解釈の参考事例。

国内裁判例レポート 2023年 第15号

「セボフルランの貯蔵方法」事件
(知財高判平成21年4月23日 平成18年(ネ)第10075号)
(知財高判平成22年1月19日 平成20年(行ケ)第10276号)
(1)特許権侵害訴訟において、クレームにおける「ルイス酸抑制」の用語の意義が明細書等の記載を参酌して限定解釈され、関連の審決取消訴訟において、分割要件違反、実施可能要件違反が指摘された事例。
(2)「ルイス酸抑制」の具体例として、明細書には「化学的中和による抑制」の開示しかないことが問題とされた。「物理的遮断による抑制」(被告方法)とのメカニズムの違いが争点化された。
(3)クレーム拡張型分割出願の参考事例。

国内裁判例レポート 2023年 第8号

「流体供給装置」事件
(知財高判令和3年6月28日 令和2年(ネ)第10044号)
(1)特許権侵害訴訟において、「記憶媒体」の用語の意味が争点となった事例。
(2)控訴審(知財高裁)において、明細書における「課題」の記載を参酌し、「媒体預かり」と「後引落し」との組合せによる決済を想定できない記憶媒体(非接触式ICカード)は本件発明の「記憶媒体」には当たらないと判断された(原審において、この点は争点化されていなかった)。
(3)特許権侵害訴訟におけるクレーム解釈の参考事例。

国内裁判例レポート 2023年 第7号

「液体を微粒子に噴射する方法とノズル」事件
(知財高判令和2年5月27日 平成30年(ネ)第10016号)
(1)特許権侵害訴訟において、本件発明の「微粒子」の用語の意味が争点となった事例。
(2)原審は本件発明の「微粒子」を「10μm以下の液滴」と解釈して非侵害と判断したが、控訴審は「小さな粒子径の粒子を意味するものであって、粒子径の数値範囲に限定はない」と解釈して侵害と判断した(原審の判断を覆した)。
(3)特許権侵害訴訟におけるクレーム解釈の参考事例。